バフェットを「真似して投資する人」に欠けた視点 「信念」が伴わなければ儲けることはできない
結局のところ、いわばテクニックとしてバフェットの投資手法を真似たところで、ギリギリの局面で同じような投資判断ができるわけではないということです。バフェット流の投資には、バフェット自身が経験し、自分の頭で考え抜いてきたことで築き上げられてきた哲学や信念があります。それを抜きにした投資論は現実には意味をなしません。
ですが、バフェット流の信念をわれわれも身につけるべきだなどといっているのではありません。われわれはみな経験も違えば、考え方も違います。バフェット関連の書籍を読むだけで彼の哲学や信念を自分のなかにコピーすることはできません。
結局自分の経験や考え方にうまく合った投資のやり方を見つけていくしかないのです。もちろん、自分の投資スタイルを見つけること自体も簡単なことではなく、結局はあれこれと試行錯誤していくしかないのですが、「誰かものすごく投資がうまい人と同じようにやればいい」という考えではうまくいかないということです。
「銘柄に惚れてはいけない」
例えば、バフェットの代名詞ともいえる長期投資についても、「長期投資をしよう」という概念自体は簡単でも、バフェットと同じような意味での長期投資をするのはかなり高いハードルがあります。
バフェットのいう長期投資は、考え方としては「保有している株が優良であると考えられるあいだは保有し続ける」というもので、一般に長期投資といわれる場合に比べても非常にスパンの長いものだと考えられています。
理屈のうえでは、もし本当に優良な銘柄に出会えたなら、このような半永久的な長期投資こそ一般投資家が目指すべきものといえるかもしれませんが、実際にはこれを貫徹することがなかなかむずかしいのです。
また、「保有している株が優良であると考えられるあいだは保有し続ける」ということは、優良でなくなった株は売らなくてはなりません。
ですが、いったん優良銘柄を見つけることができ、何度か高パフォーマンスを享受した経験をすると、たいていの場合その銘柄に愛着がわいてくるはずです。このような愛着もまた、バフェット流投資法の高いハードルとなります。
もしその銘柄が優良ではなくなりつつあるとして、愛着があればあるほどそのことには気づきにくくなるからです。よく言われるように、「銘柄に惚れてはいけない」ということです。惚れてしまえば、「あばたもえくぼ」のとおり、その銘柄の欠点やリスクを見過ごしてしまうことになります。
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