祖業との訣別を決めたパイオニアの覚悟

小谷進社長に聞く勝ち残りのシナリオ

――車載機器に特化する戦略だが、主力製品のカーナビはスマートフォンなどに置き換わっていくとの見方もある。

確かにスマートフォンは今後も普及し続けるだろう。スマホのグーグルマップなどは、従来型のカーナビとそん色ないくらい進化している。

ただし、すべてがスマホに置き換わるわけではない。今でも多くの人はスマホを持っているが、クルマの中ではナビを使っており、ディスプレイも残っている。ディスプレイだけを手掛けても、価格競争に呑みこまれる。だから、ハードは引き続き重視しながら、渋滞情報などのサービス、さらにクルマと通信がつながる「コネクテッド化」の流れに向けて、法人向けの運行管理システムなど新たな提案を強化していく。

アップルにしても、グーグルにしても、情報を取りこむ基本ソフトまでは手掛けるが、ハードはおそらく作らないし、情報を吸い上げてサービスを提供することもしない。そここそが、われわれの”領域”だ。

クルマの内部はガラッと変わる

――ハード、ソフトの具体的な戦略は。

 ハード面で注力しているのは、(運転手の視界に直接情報を収集する)ヘッドアップディスプレイだ。将来の車を考えたときに、これは非常に重要な技術になる。

こたに・すすむ●1950年生まれ。75年にパイオニア入社。国際畑が長く、執行役員国際部長などを経て、2008年から現職

先日、トヨタの燃料電池車「ミライ」を試乗したが、インパネ部分は従来のクルマと全く異なるデザインだった。真ん中に大きなディスプレイがあり、そこにナビゲーションなどの情報が出てくる。スピードメーターなどはダッシュボードの上に表示される。これでもまだ未完成ということだ。

将来のクルマは、このようにインパネ部分がガラッと変わるだろう。情報は必要なときに表示されればよく、そこで最適なデバイスがヘッドアップディスプレイになると考えている。まだ高価なこともあり、市販ではさほど普及していないが、手を抜かずに開発を継続していきたい。

ソフト面の強みは地図情報だ。パイオニアは車載向け地図子会社、インクリメント・ピー社を抱えている。今はトヨタが自社で手掛けているのを除けば、国内の車載向け地図制作会社は、ゼンリンとインクリメント・ピーの2社が寡占している。

自動運転の時代になれば、地図情報はもっと高精度化が求められる。そのため、われわれはNTT空間情報と提携し、その要請に応えていく。またタイの地図制作会社と合弁を設立し、ASEAN7か国の主要都市の地図データを獲得するなど、グローバル展開も仕掛けている。

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