「東大+京大+医学部」合格率TOP50校ランキング 数でなく率で少数精鋭の隠れた名門校を見つけろ
つまり、もともと東大はお金持ちの子弟が集まる大学だったということ。それが時代によって公立高校を経由したり、私立中高一貫校を経由したりするだけであり、「東大入学に有利な階層の子どもたちは、有名進学塾に行くための教育費や、私立の中高一貫校の授業料を負担できる『財力』のみによって、有利な立場にあるのではない」(苅谷)というのだ。
地方の公立名門校が日比谷のようにはなれない理由
なぜこれほどまでに私立が優位なのか、はっきりした理由はわからない。あえて私立と公立の最大の違いを述べるとすれば、「経営に失敗すれば私立は潰れる」ということである。
逆にいえば、私立は常に経営努力を迫られている。拙著『ルポ 名門校 「進学校」との違いは何か? 』でも詳しく考察しているが、建学の精神を礎にしつつ、常に生徒や保護者のニーズを汲み取り、時代に即した教育を取り入れている私立学校のみが生き残る。
たとえばかつて1967年の東京都の学校群制度導入によって、名門・日比谷高校ははしごを外され、長年指定席だった東大合格者ランキング首位を陥落した。21世紀に入ってから都立高校改革などが功を奏し進学実績が回復したが、これが私立の学校だったらすでに存続していなかったかもしれない。
なお、都立高校が比較的短期間で大学進学実績をV字回復できたのには、地の利がある。東京都の人口は約1400万人。これは東北6県と北陸4県を合わせた人口に匹敵する。これだけの巨大な母数を1つの学区にして、学費無料の条件で学力最上位層を一部の進学指導重点校に集中させることができたからだ。たとえば福井県の場合、全県1学区にしても人口は80万人足らずだから、そうはいかない。
大学合格者ランキングを見るときには、<数>だけでも<率>だけでもなく、そういう背景も頭の片隅に置いてみてほしい。ちょっと見方を変えるだけで、いろいろな学校にスポットライトを当てることができる。さらにたくさんのいい学校があることに気づけるようになる。観点は自分で選べばいい。
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