医学部入試の地域枠制度は、僻地の医師不足を解消する目的でつくられた。だが、高額の奨学金支給と引き換えに、指定された地域で長期間働くことを義務づける「年季奉公」の現状に、医学生たちが苦しめられている。
山梨大学医学部に在籍する男性は、「親にお金のことで心配をかけたくない」という理由から、地元の山梨大へ進学した。山梨大は、県内出身者に限られた前期の地域枠入試と、後期の一般入試しかない。そのため、県内出身者なら前期の地域枠を受験しない手はない。
この地域枠での入学は、県から6年間で936万円の奨学金を借りることが必須条件だ。返済免除の要件は、県内の指定された病院に9年間勤務すること。だが、途中で離脱すれば、年10%の利息をつけて返さなければならない。
さらに山梨県では、2021年度の入学者から、離脱に対する違約金(最大842万円)が全国で初めて導入された。離脱すれば、利息と合わせて最大2430万円の一括返済を求められる。
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