流通大手は物流分野に巨額の投資をし、生鮮EC市場に挑む。
都心から50キロメートルほど離れた千葉市郊外の更地では、大型クレーンがせわしなく動いていた。近くにある記念碑には、「明治大学農学部発祥の地」の文字。この地が今、ロボットで生鮮商品などを出荷する最新施設に生まれ変わろうとしている。
千葉市緑区の誉田(ほんだ)町で建設が進められているのは、流通大手・イオンのネットスーパー新拠点「イオン誉田CFC」だ。CFC(顧客フルフィルメントセンター)は、注文の受け付けから商品の梱包や配送、在庫管理などまでEC(ネット通販)取引における業務全般を担う施設を指す。
地上3階建てで建築面積は東京ドームの7割に相当する。開業予定は2023年。配送エリアは千葉県内と都内の一部、食料品や日用品など5万点の商品を扱う。
総合スーパー「イオン」を運営するイオンリテールもネットスーパーを展開するが、誉田CFCはそれと別個に事業を行う。従来のネットスーパーと大きく異なるのは最新技術を導入する点だ。在庫から注文商品を取り出すのは、人間ではなくAI(人工知能)で制御された1000台ものロボット。約6分で50商品をピッキングできるうえ、24時間稼働する。
誉田CFCの投資額をイオンは公表していない。だが、土地購入などで40億円近くをすでに投じたようだ。
今後5年でイオンが猛追
「『オンラインデリバリー=イオン』というイメージをつくりたい」。今年4月に発表した新中期経営計画の説明会で、イオンの吉田昭夫社長はそう意気込んだ。
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