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貨幣発行を国が独占せず民間の競争に委ねよ 誌上講義3|ハイエクの中央銀行批判

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ハイエクの『貨幣発行自由化論』の今日的意義を考える。

自由主義思想の巨人|F. A. Hayek
ケインズのライバル。政府による管理介入を批判。社会主義経済計算論争で、市場なしには必要とする膨大な情報を収集できない点を指摘。最も有名な著作は政治的な『隷属への道』。(イラスト:安彦良和)

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2010年前後からビットコインをはじめとする仮想 通貨が登場し、米フェイスブックはリブラ構想を発表しました。さらに、中国、それに対抗して欧米や日本で中央銀行デジタル通貨(CBDC)が検討されています。

しかし、人々の役に立つ決済手段の開発は民間の競争に委ねられるべきだと私は考えています。

フリードリヒ・ハイエクは1976年の著書『貨幣発行自由化論』で政府から貨幣発行の独占権を取り上げ、民間の競争に委ねるべきだと主張しました。

彼の主張は、貨幣の発行を中央銀行に独占させると、インフレ、つまり通貨価値の下落をいくらでも生じさせてしまうことになるが、民間企業の競争に委ねると、価値の減っていく通貨を人々は選ばないので、通貨価値の安定につながる、というものです。

「悪貨が良貨を駆逐する」と書いたのは16世紀オランダで英国王室の債務整理を行っていたグレシャムですが、これはまさに独占によって起きる問題です。人々が便利な貨幣を選ぶことができればむしろ「良貨が悪貨を駆逐する」とハイエクは考えたわけです。

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