郵便局の成り立ちから続く複雑な多重統治を改めることはできるのか。
不祥事が日本郵政グループで相次ぐのはなぜか。カギは複雑な「多重統治」体制にある。
日本郵政は指名委員会等設置会社だ。社外取締役を中心とした指名委員会、報酬委員会、監査委員会が置かれている。郵政の「コーポレートガバナンス(企業統治)の基本方針」によれば、「社外の視点を経営に十分に活用する」とある。増田寛也社長は「社外取締役は執行側に対して十分な牽制効果がある。経営していくうえでほかの企業と比べて(社外取締役や労働組合の監視機能が)弱まっているとは思っていない」と断言する。
本当に機能しているのか。
ドンと全特OBの支配
日本郵政の企業統治の実態は独特だ。2006年に株式会社化される前は日本郵政公社で、その前は郵政省(現在の総務省)だった。
そうした過去もあり、19年にかんぽ生命保険の不適正募集が大量に発覚するまで、日本郵政グループは「『郵政のドン』が組織の軸だった」(かんぽ幹部)。
「ドン」とは鈴木康雄元上級副社長(上図表右上写真)だ。13年に日本郵政の副社長となり「郵政グループの人事権を事実上掌握していた」(同)。社員からの人事の相談に親身になって話を聞き、「スーさん」と慕われた。
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