郵便局網の再編が進まない背景には、全国郵便局長会(全特)の存在がある。
「都に鄙(ひな)に また山に 雪降る朝(あした) 風の夜 あまねく人に幸せと 断えざる 努力続けゆく ああ全特に 誇りあり」
都会であれ田舎の山奥であれ、風雪に耐えながら任務をまっとうせんとうたうこの歌は、全国郵便局長会(通称「全特」)会歌の一節。東京都港区にある全特六本木ビルの敷地内には、組織の精神をうたった会歌の石碑が設置してある。
全国に約2.4万局ある郵便局のうち、小規模の郵便局約2万局の局長らで構成されるのが全特だ。
その精神は崇高だが、近年は「日本郵政が真の民間企業に脱皮できない一因は全特にある」と矛先を向けられることが多い。全特が重んじる「郵便局網(数)の維持」が、組織全体の合理化、構造改革を阻害している、というのだ。
郵便物数は2001年度から19年度までに4割減少。20年度の日本郵便の純利益予想はゼロだ。
ジリ貧の日本郵便を支えているのが、ゆうちょ銀行とかんぽ生命保険の金融2社だ。2社が資金運用で収益を上げ、郵便局に金融商品販売委託手数料などの名目で毎年9000億円以上を支払うことで郵便局網は維持されてきた。
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