トール、ペリカン便、かんぽ。繰り返されるばら色戦略の挫折。
相次ぐ不祥事を制御しきれず、日本郵政グループは崩壊しかねない状況にある。そのような危機を招いた「A級戦犯」は誰なのか。郵政グループの現役社員たち数十人に尋ねると、最も多く挙がってきた名前は4代目社長の西室泰三(元東芝社長)だった。
海外M&Aで大こけ
西室は2015年に国際宅配便大手・豪トールホールディングスを6200億円で買収した。海外M&A(合併・買収)は国際派・西室の十八番だ。東芝相談役時代、当時の東芝社長だった西田厚聰と、米原子力関連企業の買収を手がけた。西室と同様、西田も国際派で、西田は西室の子飼いだった。
同年11月の東証1部上場を間近に控えた西室は、成長ストーリーに飢えていた。国内外の投資家に説明して回るロードショーの際に、説得力のある成長戦略を語る必要に迫られていたからだ。そこに舞い込んできたのがトール社の買収話だった。
当時の西室は「日本郵政は世界をリードする物流企業。アジア太平洋で最大級のトール社との組み合わせは強力」と説いて回った。
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