かんぽの不正拡大を止められなかったJP労組だが、渉外社員の苦境を座視できなくなってきている。
日本郵政の最大労働組合、日本郵政グループ労働組合(JP労組)はかんぽ不正問題で社員を守る防波堤になれなかった。そればかりか、実はターニングポイントとなった局面で不正を加速させる役割を果たしていた。
不正拡大の最大の元凶
「あれがかんぽ不正問題を大きくした最大の元凶ではないか」。ある元渉外社員(金融商品を訪問して代理販売する社員)が述懐するのが、2015年の賃金改定だ。
この改定で日本郵政は、それまで窓口など他業務の社員らと同水準だった渉外社員の固定給を2割引き下げる代わりに、変動制の営業手当を引き上げた。これが2つの負の影響を招いたという。
1つ目の影響はもともと強引な営業で契約獲得を重ねていた渉外社員の手法を助長させたことだ。
2つ目の影響は、そのあおりで獲得成績の「平均値」が上昇し、ノルマが厳しくなったことだ。その結果、それまで不正をしていなかった人たちが平均値の成績を取るのは厳しくなった。こうして上司から「低成績社員」として目をつけられ、パワハラに当たるような指導を受けた人も少なくない。
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