不祥事が続出する日本郵政グループ。トップ層を大幅に刷新したが、多重統治は変わらず、不公平処分で現場には不満が鬱積。職場崩壊の危機が一部で顕在化。(本誌:山田雄一郎、福田 淳)
日本郵政グループの社員から怨嗟(えんさ)の声が絶えない。
「この1年半、営業手当がなく基本給のみ。54歳の私の手取り年収は320万円。ローンの支払いも滞っている」(東北の郵便局員)
約1年半前の2019年6月、郵政傘下のかんぽ生命保険の不適正募集が発覚。直後の7月から保険販売の営業を自粛し、いまだに積極的な勧誘はできない。そのため多くの郵便局員は保険販売の営業手当のない状態が続いている。
昨年10月から顧客への「お詫び行脚」を始めているが、これがさらに社内の雰囲気を悪くしている。「不適正募集をした当事者である先輩は客との接触が禁じられているので若手だけでお詫び行脚をさせられている。とても回りきれず辞めていく若手も多い」(東京=社員の属する郵便局の支社名、以下同)。「誰もお詫び行脚に行かない。職場崩壊だ」(東海)とも。
経営陣への不満続出
再生を期して20年初めに就任した増田寛也・郵政社長の評判もよくない。「保険販売を担当していた渉外社員全般をゴミ扱いしている。日本郵政グループの社長の器ではない」(北海道)。「『バッドニュースこそ上げてくれ』なんて格好のいいことを言っておきながら現場の声を聞いていない」(東北)。「地方創生とか、儲けを生まないことばかり口にする。会社をボランティア団体にしたいのか。先が見えない」(中国)。
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