転換期にある日本のものづくり企業において、大切なことは何か。数多くの企業に提言してきた御意見番に聞いた。
──製造立国・日本が岐路に立っています。
ものづくり自体が21世紀になって要らなくなったわけではない。独シーメンスだってものづくりを続けているし、米テスラも車載電池を自分たちで作ろうとしている。ただ、ものづくりだけでは豊かなキャッシュを創出できない。スマート工場など、ものづくりにデジタルを徹底的に掛け合わせる必要がある。
日本のものづくり企業では、日立製作所が社会システムのデジタル化をIoT基盤「ルマーダ」の横串で実現するという明確なビジョンを持って変身した。逆にビジョンや目標をはっきりさせないと、デジタルや人工知能といったこれからの時代を担う分野の人材を集められない。
──日本のものづくりにはまだチャンスがあるでしょうか。
日本企業はもともと、高度なすり合わせ力に裏付けられたマニュファクチャリング(製造)が得意だ。ただ、今後もそれに依存しすぎるのは危険だ。デジタル化とサステナビリティ(持続可能性)の時代の今、どう柔軟に適合できるかを示さないといけない。企業がサステナビリティについてコミット(公約)して地歩を固められれば、投資家からの評価も得られるはずだ。テスラの株式時価総額が、(売上高でテスラを圧倒する)トヨタ自動車の2倍強となっているのは、デジタル化とサステナビリティへの評価が掛け算となって上昇しているからだ。
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