戦車、護衛艦、潜水艦、戦闘機──。陸海空を網羅する三菱重工は日本防衛産業の中核を成している。
中国の軍拡や海洋進出によって、日本を取り巻く安全保障環境は悪化。2020年末に菅政権が閣議決定した21年度当初予算案で防衛費は5兆3422億円と7年連続で過去最大を更新した。
ただ、日本の安全保障を支える防衛産業は疲弊している。各社は防衛関連事業で利益を出せず、業績が圧迫されているからだ。
防衛予算は増え続けているが、例年そのうちのおよそ8割は人件費や糧食費、活動経費、装備の整備費に充てられる。そのため、新たな装備の購入費は年間で約1兆円。さらに米国からの防衛装備品の輸入拡大で国内企業の受注機会が減少し、防衛費拡大の恩恵はあまりない。06年以降に原則として一般競争入札になったため価格競争が激しくなったことも影響し、受注を獲得しても利益が出ないことも多い。
武器輸出も難しく、今後の市場拡大は見込みづらい。生産量を増やし製品1単位当たりのコストを下げることもかなわない。日本の防衛産業はまさに袋小路の状況だ。
すでに防衛産業から撤退する動きが相次いでいる。19年にコマツは陸上自衛隊向けの軽装甲機動車の開発を中止。20年には三井E&Sホールディングスが護衛艦を手がける艦艇事業を三菱重工に売却する方針を示し、協議が行われている。また防衛装備の部品を製造するサプライヤーでは島津製作所などのように撤退を示唆する動きも出る。
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