スイス重電大手から買収した送配電事業が日立の命運を握る。
「黒船の来航は(江戸時代末期の)日本を大混乱させたが、私は今回、意図して“黒船”を呼び込んだ。日立を真のグローバル企業にするために、変革のドライビングフォースにしたい」
日立製作所は2020年7月にスイスの重電名門ABBからパワーグリッド(送配電)事業を、過去最大となる1兆円規模(債務の引き受けを含む)で買収した。まず8割超の株式を取得して合弁会社「日立ABBパワーグリッド」(HAPG)を設立し、23年以降に完全子会社化する。日立の東原敏昭社長はABBを幕末に来航して開国を迫った外国艦船「黒船」に例え、高揚感を隠さない。
実際、ABBが日立に与えるインパクトは大きい。ABBの送配電事業の売上高は年間1兆円規模。世界約90カ国で1万5000社以上の顧客に電力変圧器や送電システムなどを販売している。ABBで働く約3万6000人が日立に移籍。日立グループ約30万人のうち、外国人が日本人を初めて上回り、過半を占めることとなった。
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