有料会員限定

「黒船」ABB事業の勝算 過去最大1兆円で送配電買収

✎ 1〜 ✎ 6 ✎ 7 ✎ 8 ✎ 最新
拡大
縮小

スイス重電大手から買収した送配電事業が日立の命運を握る。

ABBが手がける高電圧直流送電(HVDC)を使用した周波数変換器システム。東日本と西日本の間の相互接続で期待されている(写真:ABB)

特集「三菱重工と日立 製造立国の岐路」の他の記事を読む

「黒船の来航は(江戸時代末期の)日本を大混乱させたが、私は今回、意図して“黒船”を呼び込んだ。日立を真のグローバル企業にするために、変革のドライビングフォースにしたい」

日立製作所は2020年7月にスイスの重電名門ABBからパワーグリッド(送配電)事業を、過去最大となる1兆円規模(債務の引き受けを含む)で買収した。まず8割超の株式を取得して合弁会社「日立ABBパワーグリッド」(HAPG)を設立し、23年以降に完全子会社化する。日立の東原敏昭社長はABBを幕末に来航して開国を迫った外国艦船「黒船」に例え、高揚感を隠さない。

実際、ABBが日立に与えるインパクトは大きい。ABBの送配電事業の売上高は年間1兆円規模。世界約90カ国で1万5000社以上の顧客に電力変圧器や送電システムなどを販売している。ABBで働く約3万6000人が日立に移籍。日立グループ約30万人のうち、外国人が日本人を初めて上回り、過半を占めることとなった。

関連記事
トピックボードAD
連載一覧
連載一覧はこちら
トレンドライブラリーAD
人気の動画
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
特集インデックス
三菱重工と日立 製造立国の岐路
川崎重工業|新社長が矢継ぎ早の大変革
IHI|航空機エンジンと並ぶ柱探る
「苦悶する」ものづくり企業|東芝
インタビュー/日立製作所 社長兼CEO 東原敏昭
「御三家」売却検討、車載は巨大化
インタビュー/日立製作所 副社長 小島啓二
過去最大1兆円で送配電買収
Part2 日立は脱製造業へ|「レッツ! ルマーダ」が合言葉
インタビュー/日立製作所副社長 塩塚啓一
工場跡地にベンチャー企業をスカウト
インタビュー/三菱重工業執行役員 古屋孝明
世界最高技術でもコスト高
日本支える防衛産業の呪縛
覆面座談会
日本各地に多種多様な工場
インタビュー/三菱パワー 社長 河相 健
稼ぎ頭も戦略見直し対象に
創業150年を迎えた名門
キャッシュフロー重視へ転換
Part1 袋小路の三菱重工|社運懸けた1兆円投資が水の泡
インタビュー/一橋大学 CFO教育研究センター長 伊藤邦雄
三菱重工と日立 製造立国の岐路
明暗分かれた重厚長大の両雄
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT
有料法人プランのご案内