山本正已・富士通社長--地産地消でグローバル化、米国は提携を武器に攻略
──IBM、ヒューレット・パッカード(HP)などガリバーのひざ元・米国では、長年攻めあぐんでいます。
現在持っている市場は1000億円程度だが、米国が世界最大のICT(情報通信技術)マーケットであるのは論をまたない。一気に何もかもではなく、強弱をつけながら攻めていく。たとえば製品では(PC技術を活用した)IAサーバー。データセンター型のサービスの基盤として、特にIAサーバーを伸ばす。UNIXサーバーと合わせたサーバーのグローバルシェアは5%、3位につけている。今期で7~8%に届く見込みだが、1、2位のIBMやHPに比べれば数分の1程度とまだまだ。これを10%を超えるところまで引き上げ、まずは3位を確実に固める。
--富士通は半導体から部品、製品、サービス部門をそろえた総合IT企業で、IBM型と見られています。プチIBM型のビジネスモデルでは、ガリバーに勝つのは難しい。違いをどう打ち出していきますか。
端末、センサー、サーバー、ストレージといったハードからネットワークという総合的なテクノロジーをベースとしたサービスカンパニー、という面では確かに同じに見えるかもしれない。たとえばクラウドでは、機器から保守・運用サービスを含めた技術の垂直統合が要求される。クラウドを構成するすべてを持っているのがIBMだ。これは強みではあるが、完全ではない。
トップベンダーとの提携でIBMとの違いを打ち出す
クローズドなシステムを構築するIBMと違い、われわれはオープン化されたテクノロジーを使っている。これによって、さまざまな関係分野でトップベンダーとアライアンスを組むことができる。富士通はマイクロソフトのクラウド基盤・Azureや、ストレージメーカーのネットアップとの相互供給など、次々にアライアンスを結んでいる。もともと親しかったサン・マイクロシステムズをオラクルが買収したため、今後はミドルウェアの分野でオラクルとの関係の緊密化が期待できる。
すべてをオリジナルでそろえるクローズドな技術だけではなかなか届かないトップレベルの技術を、アライアンスによって取り込むことができる。これはわれわれの強みだ。