米国の雇用統計が大幅改善という“誤解”

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政策ミスマッチも

さらに、6カ月以上の長期失業者は約644万人と前月比11万人増、前年比では31万人も増えた。全失業者に占める割合も44%台と上昇している。長期失業者の増加に関しては、米連邦準備制度理事会(FRB)のバーナンキ議長も、「労働者のスキルを劣化させ、雇用と所得見通しに永続的ダメージを与えかねない」(7日の議会証言)と、強い懸念を示す。今後も量的緩和第2弾(QE2)を計画どおり続行する構えだ。

しかし、この量的緩和もその効果に限界が指摘されている。元国際通貨基金(IMF)エコノミストで、現在シカゴ大学教授のラグラム・ラジャン氏はこう語る。「住宅バブル崩壊の結果、米国では住宅業界中心に構造的な失業問題が発生した。マクロの金融政策や財政刺激策だけでは、失業者を労働力へ復帰させることはできない。必要なのは技能の養成や職探しの支援などミクロレベルの対策だ」。

問題の本質と対策がミスマッチを起こしているなら、米国の雇用改善はますます遅れる可能性がある。

(中村 稔、リチャード・カッツ =週刊東洋経済2011年1月22日号)

※記事は週刊東洋経済執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。
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