「危機時にこそ、投資を続ける」 リクルートホールディングス 峰岸真澄社長

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リクルートホールディングスの峰岸真澄社長兼CEOは「(新型コロナウイルスによる感染拡大は)4度目の危機」と語る(写真:リクルートホールディングス)

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2020年3月期の売上高が2兆3994億円、純利益は1798億円と、いずれも過去最高を記録したリクルートホールディングス(HD)。
これまでは2012年に買収したアメリカの求人検索大手・インディードなどが牽引してきたが、コロナ禍で求人検索や販促メディア、人材派遣などの主要事業が軒並み打撃を受け、成長路線は足踏みを強いられている。
「自身にとって今回は4度目の危機」と語るリクルートHDの峰岸真澄社長兼CEOに、アフターコロナの経営戦略について聞いた。

危機時に問われる回復力

──コロナ禍で収益環境が急速に悪化しました。

緊急事態宣言下の自粛要請によって消費の動きが止まったことで、4月の売上高は前年同月比2割減に陥った。宣言が解除されたことで、今後業績は持ち直すと想定しているが、回復の角度は見通しづらい。コロナ前の水準に戻るには、それなりに時間がかかると考えている。

短期的には業績にマイナスの影響を受けるが、われわれはつねに長期的な目線で経営に臨んでいる。5月末の決算発表後、海外の機関投資家をまわって言われたのが、こういう危機時にこそ「レジリエンス(回復力)」が問われるということだ。今は外部の衝撃をどれだけ跳ね返せるかが試されている。

──リクルートHDは過去に何度も危機を経験しました。

私自身、過去30年間で4度の危機を経験した。1度目は平成初頭(1990年代)の不動産バブル崩壊。マンション開発業務で背負ったグループ会社の損失を親会社のリクルート(当時)が肩代わりし、1兆4000億円もの有利子負債を抱え、ダイエー(当時)の傘下入りした。

次の危機が、インターネットの台頭だ。それまでは紙の情報誌という参入障壁の高い分野で勝負していたが、インターネットの登場でその参入障壁は一気に下がった。就職情報誌『リクルートブック』の売り上げは10分の1になり、1ページ100万円近い広告料を稼いでいた紙の『じゃらん』も、ネットになると、1予約あたりの手数料収入という、まったく違うビジネスモデルになり、対応に苦労した

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