
デジタル化が進んでも「店舗がゼロになることはない」と話した亀澤社長(撮影:梅谷秀司)
新型コロナウイルスの感染が拡大する中、企業の資金繰り支援に奔走した銀行業界。緊急事態宣言後も営業を続けたものの、店舗には人が集まり、3密が指摘されるなどデジタル化の遅れも指摘された。一方、メガバンクなどでは、新型コロナを機に顧客のデジタル取引移行が急激に進んだ。銀行にとってはデジタル化を一気に推し進めるチャンスだ。
そんなコロナ禍の真っ只中の4月、三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)の亀澤宏規新社長が就任した。亀澤氏はメガバンク初の理系トップであり、これまでMUFGのデジタル化を担ってきた人物だ。今後どうデジタル化を進め、ポストコロナの戦略を描くのかを聞いた。
オンライン化の流れが加速する
──コロナ禍の最中に社長に就きました。
正直、こういう船出になるとは思っていなかった。
いろいろ考えさせられた。銀行が資金支援をし、給付金は口座に入れる。(コロナ禍においても)銀行、信託、証券という金融のオペレーションを止めてはいけない。社会的責任の重さを痛感した。
本業では、コロナ関連の融資残高は直近で12.5兆円になった(7月9日時点)。資金需要は少し落ち着いてきた印象だ。より大きいのはデジタルシフト。個人向けインターネットバンキングの利用者は約3倍、法人向けのオンラインレンディングの融資申し込み件数も約3倍に増えた。
今までの潮流が新型コロナでどうなるかと言われれば、加速すると考えている。3年前に立てた計画(「MUFG再創造イニシアティブ」)と大きな方向性は変わらない。ここにデジタルシフトと社会課題の解決という2つを加味して次の中期計画を作っていく。
──デジタル化では、リテール(個人や中小企業向けの取引)分野にスポットが当たっています。どのように進めていくのでしょうか。
デジタライゼーションは既存ビジネスの改革と新規で取り組んでいるものがある。
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