ファーストリテイリングの今期は前期の反動で従来予想どおり2ケタ営業減益。1月以降の既存店回復なら減益幅縮小も
カジュアル衣料専門店「ユニクロ」を展開するファーストリテイリングの今2011年8月期は、国内ユニクロの売り上げ不振が響き、従来予想どおり前期比14%程度の営業減益になりそうだ。
13日に発表された10年9~11月期(第1四半期)は、売上高2509億円(前年同期比4.7%減)、営業利益498億円(同18.4%減)だった。国内既存店売上高の反動減に加え、9月の残暑の影響で秋物在庫の値引き販売が増えたことによる採算低下が響いた。
会社は通期計画を売上高8460億円(前期比3.8%増)、営業利益1135億円(同14.3%減)としている。主力の国内ユニクロの既存店売上高が、12月までの4カ月間で前年同期比14.3%減と苦戦したことを受け、売上高は期初計画から100億円下方修正した。ただ、広告宣伝費と人件費を抑制することで減収分は吸収できるとし、営業益以下は期初計画値を据え置いている。
会社計画は、売り上げボリュームの大きい12月の実績を踏まえた数字であり、売上高については「東洋経済オンライン」も会社計画に合わせて引き下げる。ただ、アジアを中心とした海外ユニクロが、会社の想定以上のペースで推移しており、今後も好調を維持すると予想する。1月以降に国内ユニクロが持ち直すことが前提だが、営業利益以下は会社計画からやや上振れる可能性もありそうだ。「東洋経済オンライン」は会社計画より若干強めにみた「四季報」新春号(12月発売)予想を据え置く。
売り上げ最大月の12月も不発だった。今期から本格投入した「ウルトラライトダウン」などの売れ筋商品でサイズの欠品が目立ったほか、ファッション性を強化する中で品目数が拡大したことで単品ごとの消費者への訴求力の低下も売り上げ不振につながった。結果、12月単月で前年同月比15.5%減と「想定を下回った」(大西秀亜CFO)。
ファーストリテイリングでは、品目増加の反省から、商品戦略の見直しを開始した。現在は1店当たり1000品目程度だが、今後は「半減まではいかないが、それなりの割合で減らす」(同)方針だ。品目圧縮の効果は下期(11年3~8月期)以降とするが、1品目当たりの生産量が拡大することで、生産効率は向上し、また店舗の作業軽減にもつながるとの見方だ。
一方、海外ユニクロは、中国、韓国などアジア地域を中心に好調だ。赤字が続いていた英国も、今期の黒字化が視野に入っている。10年10月の台湾、同11月のマレーシアに続き、今秋にはタイへの進出も計画しており、新たな収益柱として急成長している。「(海外ユニクロは)計画を上振れて好調だが、現時点では通期見通しは変えない」(大西CFO)としており、この点では計画はやや保守的で、上振れ余地もありそうだ。
ただ、会社計画以上に利益を出せるかは、主力の国内ユニクロの売り上げをどこまで挽回できるかにかかっている。
国内ユニクロは、昨年年初から既存店売上高が低調になり始めた。今期は、昨年1月以降に品切れが目立った「ヒートテック」を、今シーズンは前年比1.4倍の7000万枚と拡大投入している。そのため、今期は1、2月にも同商品が店頭に並べられ、販売機会ロスを防いで売り上げを底上げできそうだ。
9~2月の秋冬で営業利益の7割前後を稼ぐ同社にとって、この1、2月の既存店売上高で前期実績水準かそれ以上の数字をたたき出せるかが、今期業績を占う大きなポイントとなる。
(鈴木良英 =東洋経済オンライン)
《東洋経済・最新業績予想》
(百万円) 売 上 営業利益 経常利益 当期利益
連本2010.08 814,811 132,378 123,755 61,681
連本2011.08予 846,000 114,000 109,000 51,200
連本2012.08予 875,000 121,000 116,000 58,000
連中2010.02 470,970 99,885 96,516 55,356
連中2011.02予 463,000 72,000 69,500 30,100
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1株益¥ 1株配¥
連本2010.08 606.0 230
連本2011.08予 503.0 170
連本2012.08予 569.8 170-190
連中2010.02 543.9 115
連中2011.02予 295.7 85
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