乾汽船の経営をめぐって生じた議決権争奪戦。機関投資家の対応は。
東証1部上場の中堅海運会社・乾汽船の臨時株主総会(2019年11月4日開催)で、110を上回る数の株主が自ら議決権を行使せずに、会社側に白紙委任していた実態が、本誌が入手した同社の内部資料で判明した。
これらの株主が乾汽船に提出した白紙委任状では、大株主である投資会社アルファレオホールディングスによる株主提案に対する賛否や委任先の代理人名が未記入になっていた(写真下左)。乾汽船は、未記入の白紙委任状を集めたうえで、これらの株主に代わって議決権を行使する社員の氏名や日時などを記載。白紙委任状を含めて180人(社)分の委任状を集め、乾康之社長の解任などを求める投資会社による株主提案を退けた。
分かれた金融機関の対応
白紙委任をした株主リストには、社員株主や従業員持ち株会、倉庫会社などの取引先に交じって、三井住友海上火災保険や、みずほ信託銀行などの金融機関も含まれていた。
このうち、三井住友海上は「日本版スチュワードシップ・コード」(受託者責任指針。以下「日本版SC」)に賛同しており、同コードを受け入れて受託者責任を果たす旨を14年5月に表明している。
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