コロナ禍による株式市場の混乱が続く中、経営者に敵対的な要求を突きつけることも辞さない株主「アクティビスト」が牙をむいた。株主総会シーズンを前に、多くの企業が震えている。
「アクティビスト(物言う株主)」の米エリオット・マネジメントの幹部が来日したのは、1月下旬のことだ。目的は、ソフトバンクグループ(ソフトバンクG)の孫正義会長兼社長、後藤芳光・最高財務責任者、「ソフトバンク・ビジョン・ファンド」を統括するラジーブ・ミスラ副社長らと面談することだった。
エリオットは、年金基金などから資金を集め、運用総額は2019年末で402億ドル(約4兆4000億円)。19年に企業に迫った提案数は14と、アクティビストの中で最も多いことに加え、かつてアルゼンチンや韓国といった国家を相手取って訴訟を起こしたこともあるだけに、「世界最強のアクティビスト」と恐れられる存在だ。
そんなエリオットは、ここ最近、通信企業やハイテク企業をターゲットにしている。19年には米通信大手AT&Tに約30億ドル投資し、資産売却や株主還元を求めた。そして、ついに日本のソフトバンクGに狙いを定めたのだ。
エリオットは、ソフトバンクGの発行済み株式の約3%を、25億ドル(約2725億円)以上の資金をかけて取得。そのうえで、同社が保有する中国アリババ株などを売却し、その資金で200億ドル規模の自己株買いを実施すること、社外取締役を増やすこと、そしてビジョン・ファンドの透明性を向上させることなどを要求した。
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