「2階のお部屋ですと、だいたい月12万円の家賃が取れますね」。営業担当の女性が商談席に広げた資料を指さす。「サブリースなら手数料を引いて受け取れる額が月11万円になります」。投資用マンションの営業ではない。都内にある新築マンションのモデルルームでの一幕だ。
このマンションだけではない。訪れたモデルルームの多くで賃料査定表が出てきた。そして営業担当者は判を押したようにこう言う。「結婚したり子どもができたりして家族構成が変わったら、別のマンションに住み替えましょう。このマンションは売らずに、賃貸に出せば資産形成にもなります」。
独身時代は賃貸で、家族ができたら分譲を買い、最後は郊外の広い戸建てへ。そんな「住宅すごろく」はとうの昔に消え去った。国交省が2018年に実施した調査によれば、マンション居住者の62.8%が永住するつもりだと回答し、すごろくの「あがり」はマンションへと移った。
現在は、コマの進め方も多様化している。独身時代にワンルームや1LDKといった狭い住戸を購入し、家族構成が変われば買い替える。最初に買ったコンパクト住戸は売却するか賃貸住宅として保有し続ける。そんな「おひとりさま」の需要を捉えようと、デベロッパーは試行錯誤を重ねている。
この記事は有料会員限定です。
東洋経済オンライン有料会員にご登録頂くと、週刊東洋経済のバックナンバーやオリジナル記事などが読み放題でご利用頂けます。
- 週刊東洋経済のバックナンバー(PDF版)約1,000冊が読み放題
- 東洋経済のオリジナル記事1,000本以上が読み放題
- おすすめ情報をメルマガでお届け
- 限定セミナーにご招待
無料会員登録はこちら
ログインはこちら