電気街として知られる東京の秋葉原。JR秋葉原駅から歩いて5分ほどの所に、三井記念病院(東京都千代田区)の白亜の高層建築がそびえ立つ。
1909年に三井財閥の寄付によってつくられた三井慈善病院をルーツに持ち、医師の人的交流では東大医学部と強いつながりがある。医学界では誰もが認めるブランド病院だ。
だがこの名門の経営は「重症」だ。患者減少などで経営は低空飛行を続け、2016年度、2億円の債務超過に転落した。直近の18年度の経常収支(経常利益)は280万円の赤字、つまりは利益ゼロである。下写真のように債務超過は7億円だ。
三井記念がなぜ経営不振にあえぐのか。ある医療関係者は、「看板となる診療科がない」と話す。「三井記念は少し前まで白内障手術で有名だった。白内障手術で新しい術式を開発し、多くの手術をこなしていた赤星隆幸医師が17年に退職し、途端に眼科の収益が落ちたようだ」。
また三井記念といえば心臓手術で定評があったが、「ほかの病院の手術レベルが上がり、三井記念が絶対的によい、ということがなくなった」(都内の医師)。大手病院に紹介状を書く医師からすると三井記念も選択肢の1つにすぎなくなった。
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