病院のM&Aに携わっている金融関係者は、先日、九州の中堅病院の院長と話していて驚いた。
「東京のある病院から、よかったら買いませんかって話が来たんだけどどう思う?」
名前が挙がったのは、何と自分が関係していた病院。確かに経営は苦しいもののこれまで売却話などはいっさい出ていなかったからだ。
慌てたこの金融関係者は、すぐさま病院理事長に確認の連絡を入れたが、「そんなつもりはない」との返事。つまり病院側の承諾も得ないまま、何者かが勝手に売却話を進めていたのだ。
実は今、こうした話は枚挙にいとまがない。本人たちの知らないところで勝手に売却話が出回っているケースが後を絶たないというのだ。
下の図を見てほしい。これは、病院のM&Aに詳しい関係者の話を基に、架空の売却話がどのように作られ、持ち込まれているのかをまとめたものだ。

まず、事務や経理といった病院の内実に詳しい病院職員OBや、やはり内部事情に精通している医療機器メーカーのOB、そして税理士や会計士といった「ブローカー」が、対象となる病院をピックアップする。病床の稼働率をはじめ、財務状況や職員の定着率、そして周辺病院の状況といったデータを基に、スクリーニングをかけていくという。
「よほどの病院でなければどこも経営は苦しい。だから、いくらでもピックアップすることができる」と、ある医療関係者は指摘する。
そのうえで、過去の実績などから価格を算定し、大手病院グループや金融機関などに持ち込むわけだ。
あるブローカーは、「多いのは100床以下の病院。金額は5億~10億円レベルかなぁ。でも、持ち込んだ先の病院も、苦しいくせに乗り気だったりする。話がまとまればラッキー、くらいな感覚でさまざまな案件を持ち込んでいるよ。もらえるフィーはそれなりだね」と語る。
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