毎年多額の補助金が投じられるにもかかわらず、多くの公立病院は赤字に沈んでいる。こうした赤字構造の背景には何があるのか。慶応大学の印南一路教授に聞いた。
──厚生労働省が全国424の公立病院、済生会や日本赤十字などの公的病院を指名する形で再編・統合の議論を促したところ、首長や病院長から反発が相次いでいます。
今回、公立・公的病院名を公開したことはむしろ当然だった。本来は自治体が主体的に、医療提供体制を描く「地域医療構想」を2018年度中に策定すべきだったのに、多くの地域では適切なプランが提示されなかった。経済財政諮問会議でも委員が繰り返し進捗の遅れを指摘してきたが一向に改善されず、確信犯的な遅れだと感じた。
公立・公的病院名の個別開示ぐらいしないと、改革が進まないし国民の意識も変わらない。今後、民間病院も、地域医療構想の出来次第では病院名の公開が必要になるだろう。
──関係者からは病院は公共財との声が上がります。
もしも日本に公立病院しかなければ確かにそれは公共財だが、現実には民間病院があるし競合もしているのだから、非競合性、非排除性がなく、せいぜい準公共財だろう。
それに最も赤字補塡の金額が大きいのは東京など首都圏だ。東北地方など民間病院が建設されず公立病院頼みの医療体制となっているならまだしも、首都圏では民間病院と激しく競合している。同様の医療を提供している民間病院は税の優遇措置も赤字補塡もない。はたしてそれが適切な税金の使われ方といえるのか。
縮退戦略が必要
──赤字補塡は小児や救急、周産期などの政策医療を担っているためといわれます。
そもそも政策医療を行っていない公立病院は不要なはずだが、個別にその内実を見ていくと、民間では難しい政策医療を行っている割合は低かったりする。行っているという不採算医療や政策医療の具体的な中身を検討することが欠かせない。
この記事は有料会員限定です
残り 685文字
