2つの数字がある。東京都立病院の赤字は年約400億円といわれることが多いのだが、約20億円という数字もあるのだ。
この差こそ、都立病院の「都立たるゆえん」を物語る。
総務省の一昨年度版「地方公営企業年鑑」を基に作成した下の表を見てほしい。都立8院の「実質的な赤字」を足すと計414億5000万円になる。
一方、「東京都からの補填」は都立8院を合計すると計394億円だ。都立病院には一般会計からこれだけの税が支出されているという意味である。この補填額を「実質的な赤字」から差し引くと計20億5000万円になる。
赤字は414億5000万円なのか、それとも20億5000万円か。そもそも一般会計からの支出とはどのような内容なのか。
ほかにない都立の医療
公営企業として運営される公立病院は独立採算が原則だ。しかし、公立には公立だからこそ行わなければならない医療がある。これを「行政的医療(政策医療)」という。
都立の場合、①法令で行うよう定められた医療(精神科救急、結核、感染症、災害など)、②社会的要請があり、とくに対策が必要な医療(難病、周産期、救急など)、③新たな課題に先導的に取り組む医療(小児がん、小児精神科など)としている。民間病院では不採算になったり、診療したがらなかったりする患者を、セーフティーネットとして受け入れる経費を税で賄っているのだ。
この記事は有料会員限定です。
東洋経済オンライン有料会員にご登録いただくと、有料会員限定記事を含むすべての記事と、『週刊東洋経済』電子版をお読みいただけます。
- 有料会員限定記事を含むすべての記事が読める
- 『週刊東洋経済』電子版の最新号とバックナンバーが読み放題
- 有料会員限定メールマガジンをお届け
- 各種イベント・セミナーご優待
無料会員登録はこちら
ログインはこちら