今から振り返ること2年ほど前の2017年秋、医療関係者の注目を集めた、病院の事業譲渡に関する入札が実施された。その病院は、品川区東大井の東芝病院。不正会計で揺れていた東芝が、経営再建策の一環として事業譲渡する方針を打ち出したからだ。
東芝病院は、東芝が1945年に設立した企業立病院。当初は社員や家族の診療を目的にした職域病院だったが、途中から一般患者も受け入れるようになり、地域に根差した病院となっていた。ただし毎年、赤字を計上し業績は芳しくなかった。
「東芝がやっていたからうまくいかなかっただけで、立地や施設を考えればポテンシャルは高い。これだけの“出物”はなかなかない」(病院のM&A〈合併・買収〉に携わる投資ファンド幹部)
医療関係者の間では、そうした声が上がるほど関心が高く、1次入札は8社前後に上った。応札したのは、サテライト病院として活用したいと考えていた大学病院、大手病院グループ、周辺の病院などそうそうたるプレーヤーばかり。その後、2次入札も実施され、価格は吊り上がっていった。
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