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無給医問題があらわにした医師たちの“超"長時間労働 時代錯誤の「無償奉仕」が蔓延

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徹夜手術後に交通事故死した故・前田伴幸医師の遺影と博士の学位記

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「病院で息子の遺体を目にしたはずですが、17年の月日が過ぎた今でも記憶が出てきません。脳が拒否しているのだと思います」

長男を交通事故で亡くした、鳥取県在住の前田三女子(みなこ)さん(70)は話す。2003年3月、鳥取大学(鳥大)の大学院生だった前田伴幸医師は、鳥大附属病院からアルバイト先の関連病院に向かう運転中に、大型トラックと正面衝突して脳挫傷で亡くなった。享年33。

前田医師は医師免許取得後、鳥大病院などでの研修医や勤務医を経て、1999年に鳥大大学院の博士課程に入学した。本来は亡くなった月末に博士号を取得し、翌月から県立病院に勤務するはずだった。02年秋から鳥大病院で診療を行っていたが無給で、関連病院のアルバイトで生計を立てていた。

突然の息子の死に直面し悲嘆に暮れる両親に追い打ちをかけたのが、大学側の対応だった。「終始こちらを見下したような物言いばかりだった」。医学博士の学位記と荷物を取りに大学を訪問した三女子さんは、応対した教授の態度をそう振り返る。

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