法改正のエアポケットになるブラック3業種
厚生労働省の労働政策審議会(厚労相の諮問機関)は6月上旬、「残業時間の上限規制」に関する報告書と、正社員と非正社員の不合理な待遇格差をなくす「同一労働同一賃金」に関する報告書をそれぞれ取りまとめた。どちらも政府が3月にまとめた「働き方改革実行計画」に沿った内容で、政府は秋に開かれる臨時国会に関連法案を提出する方針だ。一定の周知期間を経て、早ければ2019年4月の施行を目指す。
残業時間の上限規制は年合計で720時間以内などとし、罰則によって強制力を持たせるとしている。「労働基準法の歴史の中でも最大の節目になりうるものだ」(日本労働組合総連合会〈連合〉の神津里季生会長)とされるが、規制の適用が施行後5年間猶予される業種が三つある。運送業、建設業、そして医師だ。それぞれ業界団体からの強い要請で猶予が認められたが、その背景には過酷な労働実態があった。
ドライバー|年間総労働時間が最長の業種
過労死の頻発を招く長時間拘束が横行
「辞める直前には、休みの翌日はもう荷物は見たくないと、朝起きられなくなった。荷物を素手で触れなくなり、いつも軍手をはめていた。だいぶ精神的に追い込まれていた」。今年1月に退職するまでの6年半、大手宅配会社でドライバーをしていた男性(35)は当時をそう振り返る。
この記事は有料会員限定です。
東洋経済オンライン有料会員にご登録頂くと、週刊東洋経済のバックナンバーやオリジナル記事などが読み放題でご利用頂けます。
- 週刊東洋経済のバックナンバー(PDF版)約1,000冊が読み放題
- 東洋経済のオリジナル記事1,000本以上が読み放題
- おすすめ情報をメルマガでお届け
- 限定セミナーにご招待