日銀トップ人事、武藤氏を軸に調整本格化
通貨の番人に就くのは誰か--。日銀総裁人事をめぐる動きが慌ただしくなってきた。本命の武藤副総裁の昇格には「財金分離」を唱える民主党の一部が反発している。
(週刊東洋経済2月16日号より)
日本銀行の次期総裁選びが大詰めを迎えている。政府は早ければ今週12日にも民主党に対して具体的な候補者を打診するとみられる。最有力候補とされるのは、「福井体制」を支えてきた元財務事務次官の武藤敏郎副総裁。だが、民主党の一部には反発もあり、「武藤体制」に向けたぎりぎりの調整が水面下で繰り広げられそうだ。
日銀総裁人事は、2003年に就任した福井俊彦総裁、武藤、岩田一政両副総裁の任期が3月19日に切れることを受けたもの。日銀法は総裁、副総裁の人事について衆参両院の同意を得て、内閣が任命すると規定する。そのため、政府に意中の人がいても、国会の同意を取り付けなければ、最終指名はできない。政府はすでに武藤副総裁の昇格を軸とする人事構想を固めている模様だが、それで決まりとはならないわけだ。
自民・公明の与党が過半数を占める衆議院に対して、参議院は民主党が主導権を握っている。民主党幹部の一人は4日、本誌の取材に対して財務省出身の武藤副総裁の昇格について拒否反応を示した。「財政・金融の分離という(民主党が掲げる)原則として認められない」との立場だ。
これに対して、政府関係筋は非公式ベースでの説得工作を続けているようだ。小沢一郎・民主党代表と親密とされる齋藤次郎・元大蔵事務次官(現東京金融取引所社長)が説得工作に駆り出されているとの話が、永田町ではまことしやかに流れている。