日本の家電業界、需要は緩やかに回復するが、厳しい事業環境は変わらず《ムーディーズの業界分析》
コーポレート・ファイナンス・グループ
AVP-アナリスト 高橋良夫
AVP-アナリスト 高橋良夫
ムーディーズは2009年11月、日本の家電業界に対する見通しを「ネガティブ」から「安定的」に変更した。これは、09年前半に市場が底打ちし、最悪期が過ぎたと判断したためである。しかしながら、その後も市場環境の大幅な改善は見られていないことから、ムーディーズは10年12月に、同業界に対する見通しを「ポジティブ」に変更せず、安定的のまま維持することとした。この見通しは、今後12カ月から18カ月で同業界の事業環境と信用状況が著しく悪化または改善することはない、とのムーディーズの見方を示すものである。
第一に、先進国経済は引き続き軟調に推移しており、全体の需要改善ペースは緩やかである。足元では、主に新興国市場における需要拡大を背景に、家電製品に対する需要は全般的に回復し、それに伴い供給も改善傾向にある。しかしながら、米国および欧州市場が引き続き低調であることから、需要回復のペースは緩やかなものとなっている。
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