常時同時配信の実現を前に思わぬ壁が立ちふさがった。
NHKにとってはちゃぶ台返しを食らった気分だろう。高市早苗総務相は11月8日、NHKが提出したテレビ番組をインターネットで常時同時配信するための実施基準案の再検討を求めた。実施基準を総務省が認可しなければ、NHKは同時配信を始めることができない。来春開始を予定していたが、暗雲が垂れ込めている。
受信料収入の拡大をもくろむNHKにとって、ネット常時同時配信は悲願だ。NHKの視聴者は圧倒的に高齢者が多い。例えば、看板番組である「NHKニュース7」の視聴者層は60~70代が中心。近年は若年層を中心にテレビを持たない人も増えており、このままでは収入が先細りしかねない。スマートフォンやパソコンなどでも視聴できるようにすることで、テレビを見ない世代に放送を届け、将来的な受信料の支払い対象者を増やす狙いがある。
2000年開始のニュースサイト「NHKオンライン」を皮切りに、過去に放送した番組を有料で配信する「NHKオンデマンド」や五輪競技のネット中継など、NHKはすでにネット分野に進出している。ところが同時配信については、災害時などを除いて実現できていない。放送法で認められていなかったからだ。
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