「中福祉中負担」は幻想--出でよ、負担増を語る“悪役”

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法人税や証券優遇税制のように、利益団体がはっきりしているテーマは、議論が活発になった。しかし、相続税や所得税のように、増税による不満を代弁する省庁のいない論点になると、途端に会場は静かになった。

結果的に「個人に増税、法人は減税」という色調を強めたのは、一つには税調の議論のパワーバランスに不均衡があったからだろう。

これから仮に消費税の議論を進める場合、消費税増税の影響を受ける人たちの利害を誰が代弁するのか。この点、政府税調のメンバー構成は未成熟と言わざるをえない。

財政再建の視点を強く打ち出せなかった点は、将来禍根を残すに違いない。初年度というのに、閣議決定までした財政運営戦略、ペイ・アズ・ユー・ゴー原則を守れなかった。
民主党議員の大半は「減税措置をなくすと業界が潰れる」と選挙を意識した発言を連呼した。

「安易な業界支援には反対」という意見を述べたのは、筆者が知るかぎりただ一人。この勇気ある議員の意見を、筆者はまともだな、と思ったが、党内世論の濁流にたちまちのみ込まれていった。

業界の利害の代弁なら誰でも言える。もう少し国家財政や戦略に目配りした、骨太な議論を聞きたかったが、党内議論は業界代弁者の大合唱。900兆円近い債務をどう償還し、減らしていくのか。そんな視点も皆無だった。議連も相次ぎ立ち上がり、民主党議員は自民党の族議員の姿に近づいている。

10年末には11年度の予算案も決まった。国債の新規発行が税収を上回る異常な予算編成が2年間続く。ストックの累積債務を減らすことはおろか、フローの赤字減らしすらままならない。今回の税制改正や予算編成は「安心」どころか、日本国「破綻」への確信を一層強めただけだ。

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