カシオ、「常識破り」カメラが生まれたワケ

カメラ屋じゃないからできるカメラがある!

FR-10はカメラ本体をあらゆるところに設置できるため、さまざまな使い方ができるのが特徴だ

飽和市場の中でなぜヒット作を生み出せるのか。その答えはFR-10の開発経緯から垣間見える。

FR-10の開発アイデアが生まれたのは今から4、5年ほど前にさかのぼる。企画の話し合いの中で、「もっと自由に撮れるカメラを作りたい」という話が上がった。しかし、当時はコンデジの全盛期。通常のカメラ開発に資源が集中しており、開発許可が出なかった。

風向きが変わったのはそれから1年後。コンデジの技術競争が一巡し、差別化するネタがなくなったことで各社が価格競争に走ったのである。が、カシオは若干違った。今までとは違うジャンルのカメラを作る必要性が出たと判断し、「自由に撮れるカメラ」の開発にゴーサインが出て、専任チームが組織された。開発が決まった背景には、カメラ業界におけるカシオの「立ち位置」に加えて、カシオの独特の社風もあった。

 伝統がないから固定観念もない

「自由に撮れるカメラ」の試作品の一つ。「体のどこかにつける」ことをテーマに開発を進めた

「カシオは一眼レフやミラーレスを持つ他のメーカーと違って伝統がない一方、固定観念もない。だからこそ自由にモノを作れた。また、カシオの事業は後から参入したものが多いから差別化意識が強い。売れているからといって先行メーカーと同じモノを作ろうと提案してもまず却下される。そういう文化があったからこそ通った企画だと思う」と、11年からFR-10開発の陣頭指揮を執ってきたQV事業部第二開発部の野仲一世部長は振り返る。

とはいえ、当初決まっていたのは「もっと自由なカメラ」というコンセプトのみ。本体とコントローラを分離する発想もまだなかった。そこで最初に考案されたのはメガネに装着するタイプのカメラ。自分の視界がそのまま撮影出来るようにするのが目的だったが、重量と操作性に難がありボツとなった。

そこからは「体のどこにつけるか」がテーマとなった。腕、頭、バッグ、あらゆる箇所が候補に挙がった。樫尾和雄社長の一押しは腕時計型だったが、肌に直接触れる部位ゆえ発熱が問題となりこれもボツになった。

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