カシオ、「常識破り」カメラが生まれたワケ カメラ屋じゃないからできるカメラがある!

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FR-10の開発過程では、実際の使用感などを確かめるために、開発チームで登山などにも出掛けた

同時にコンセプトも深化してきた。アウトドアでの使用を念頭に置き、あらゆるシチュエーションで使える頑丈さを追求することになった。これには、開発チームにパラグライダーやレーシングカーをやっているメンバーがいたのが強く影響したという。

試行錯誤の結果、特定の場所に付けるのではなく、カメラから液晶を取り払って小型化し、どこにでも付けられるようにする、というアイデアが採用された。これに伴い、コントローラを別途作り、双方を無線で通信するという今の形に落ち着いた。開発が進むにつれ、メンバーも徐々に増えていき、13年の春頃には約20名にまで膨らんでいった。

 写真を撮る機会自体は増えている

この段階で一番苦労したのはどうやって無線でやり取りをするか。「通信のスムーズさにこだわった。分離していると言っても、使用者はこれをデジカメとして考える。だから買って電源をつけた瞬間から接続されていなければいけないし、長時間接続しても電池が消耗しない形式にする必要があった。コントローラとしてスマホを使うという考えもあったが、これらの点がクリア出来なかったから専用のコントローラを作ることになった」と野仲部長は言う。

今後の課題はインターネット連動だ。「コンデジ市場はスマートフォンの侵食もあり厳しい状況が続いている一方、SNSでシェアすることを目的に写真を撮る機会は増えている。FR-10はスマホでは撮れない写真を撮ることを可能にした。後は、撮った画像をより簡単に共有できるようにしていきたい」(野仲部長)。

専業じゃないからこそ斬新にもなれたカシオ。今後もカメラの新たな使い方を提案することで飽和市場で勝ち続けられるか。

渡辺 拓未 東洋経済 記者

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わたなべ たくみ / Takumi Watanabe

1991年生まれ、2010年京都大学経済学部入学。2014年に東洋経済新報社へ入社。2016年4月から証券部で投資雑誌『四季報プロ500』の編集に。精密機械・電子部品担当を経て、現在はゲーム業界を担当。

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