人生100年時代を迎えた今、「引退後に向けた準備だけでなく、人生全体を設計し直す必要がある」と説いたのが、『ライフ・シフト』(邦訳小社刊)だ。著者のリンダ・グラットン氏に、ライフ・シフトの実行に向けた日本の課題を聞いた。
──グラットンさん自身、大きなキャリアチェンジを経験しています。
大学で心理学を学び、ブリティッシュ・エアウェイズ、PAコンサルティンググループを経て、32歳のときにロンドン・ビジネススクール(LBS)で職を得たが、低収入の研究職だった。給料はPA時代から9割減り、持っていたBMW車は手放した。
かなり大きな転換をしたのは、書くことを突き詰めてみたかったからだ。当時はまだ子どもはいなかったが、多忙なコンサルタントの仕事をしながらの子育ては無理だと考えたことも転身を後押しした。大学で教えるなら自由になる時間があるし、融通が利く。
コンサルタント時代には、「集めたデータの一部を、研究者チームと一緒になって学術書などにまとめる」という目標を立てて実行した。LBSで職を得ることができたのは、それまで研究者と仕事をし続けてきたからだ。
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