ソニー(現ソニーグループ) 元会長兼グループCEOの出井伸之氏が2022年6月2日に亡くなった。84歳だった。東洋経済では2019年に特集「ソニーに学べ」を配信。出井氏はインタビューの中で、ソニーの本質や変革を始めた人物など、さまざまなことを語っていた。
──なぜソニーは復活できたのでしょうか。
僕は今のソニーについて公的な発言をしないようにしている。だって、現在の人にいい影響を与えないじゃない? 僕もOBから説教を受けたのでなおさら控えたい。
ただ、ソニーの本質的なことについて語るのは構わないと思っています。
──ソニーの本質とはどういうものでしょうか。
ソニーの変革を始めたのは(創業者の一人である)盛田(昭夫)さんだということです。アメリカと日本の間には1970〜80年代に今の米中みたいな緊張関係があった。ニクソンショック、プラザ合意を経て、円が大幅に切り上げられ、日本製品の輸出競争力がなくなった。
そのころ盛田さんは「こんなに円が高くなったら、とてもエレキだけではやっていられない」と、ものすごく強い危機感を持って変革を実行した。
70年代、結果的にソニープルデンシャル生命(現在のソニー生命)をつくったが、盛田さんが本当につくりたかったのは銀行だった。80年代の終わりには、音楽、映画の買収へと乗り出していく。
そういうエンターテインメントをやっているという流れが、90年代にはプレイステーションにつながっていった。
忘れてはいけない3人目の創業者
──盛田さんの危機感が今のソニーをつくった、と。
ほかにも傑物がいました。
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