くぼた・ともひこ●UBS証券、ソニー、GCAを経て2014年から現職。ソニーには00〜05年在籍。(撮影:梅谷秀司)
平井一夫氏が2012年に社長に就任して以降、ソニーはいかに経営危機から脱出するかというターンアラウンド期にあった。そのため、平井時代はパソコン事業売却、電池事業売却、さらにディー・エヌ・エー株とエムスリー株の売却など、売却が目立った。18年にEMIミュージック・パブリッシングを約2100億円で買収しているが、新しい市場を切り開くようなものはなく、やろうとしても難しい時期だった。
孫会社のスマートフォンゲームが大ヒットするという追い風が吹いたこともあって、平井氏は過去最高益を達成し、見事にソニーをターンアラウンドさせた。経営者としてすばらしい結果を残した。
イノベーションはGAFAに完敗
一方で現社長の吉田憲一郎氏に今求められているのは、売り上げ1兆円単位の新事業の創出だ。
1950年代のトランジスタラジオから始まり60年代のトリニトロンテレビ、70年代のウォークマン、そして90年代のVAIO、プレイステーション。ソニーは非連続に成長できるヒット商品を生み出してきたが、プレステ以降は生まれていない。現在、中核になっている半導体事業は4代目社長の岩間和夫氏、ゲーム事業はプレステの生みの親として知られる久多良木健氏がつくったものだ。95〜05年にトップを務めた出井伸之氏の時代と、中核を成している事業のポートフォリオは基本的に変わっていない。
00年までイノベーションといえばソニーの代名詞だったが、今やGAFA(グーグル、アップル、フェイスブック、アマゾン・ドット・コム)にお株を奪われている。ソニーの時価総額はおおむねGAFAの10〜15分の1だ。最先端のテクノロジーは、米国西海岸のスタートアップが席巻している。
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