かつて巨額赤字にあえいだソニーのテレビ事業。いかにして苦しい時代を抜け出し、日本メーカーで数少ない勝ち組の座に就くことができたのか。
かつて10年連続で赤字を計上し、業績不振の象徴的存在でもあったソニーのテレビ。それが今、「金のなる木」へと変貌を遂げている。
2020年度、ソニーのエレクトロニクス事業の営業利益は1391億円(前期比59.5%増)と、直近10年で最高の数字を更新した。テレビ単体の損益は2019年度以降開示していないが、エレクトロニクス事業の利益の大半をテレビが占めたとみられる。
過去を振り返ると、ソニーのテレビは2004年度から10年連続で赤字を出し、いわば“お荷物事業”だった。この間の累計の赤字額はおよそ8000億円。しかし2014年度に黒字へと転じて以降は、毎年のように利益を伸ばしている。
台数を追った「苦しい時代」
テレビなどの電化製品は販売台数が一定水準以下となると、サプライヤーとの部材調達における交渉力を失いやすく、工場などの稼働率も下がってしまう。そうした生産効率の都合上、以前はソニー社内でも販売台数の確保、シェア拡大が最優先事項となっていた。
2009年には「年間4000万台」という高い目標を掲げたものの、目標最終年度の2012年度は1350万台の販売に終わった。台数を追った結果、激しい価格競争にさらされ、巨額の赤字を余儀なくされた。
この記事は会員限定です。登録すると続きをお読み頂けます。
登録は簡単3ステップ
東洋経済のオリジナル記事1,000本以上が読み放題
おすすめ情報をメルマガでお届け
無料会員登録はこちら
ログインはこちら