2015年に消費、貧困、福祉の分析に関する功績をたたえられ、ノーベル経済学賞を受賞したアンガス・ディートン米プリンストン大学元教授。長年、調査データと格闘しながら、人々の所得や健康、幸福について考察してきたディートン氏に話を聞いた。
──ICT(情報通信技術)の発展により、データを扱う研究活動に大きな変化はありましたか。
昔は、数字を本から写し取って、グラフを鉛筆で描いていた。私はつねに研究でグラフを使っているが、言うまでもなくコンピューターやICTの活用で研究活動は大いに改善された。
経済全体で見ても劇的な変化があった。入手可能なデータ、それを利用する技術が変わった。私が研究活動を始めた1960年には調査データは少なかったが、今では何千万というデータが入手可能になり、それをAI(人工知能)に投入することができる。
──逆にデメリットはありますか。
理論を積極的に学ばず、データで理論を代替する人たちが出てきた。それは間違いだと思う。また、ポピュリスト政権が世界に脅威をもたらしており、例えばインドなどでは、公的統計が政治的な介入により操作される懸念が高まっている。
この記事は有料会員限定です。
東洋経済オンライン有料会員にご登録いただくと、有料会員限定記事を含むすべての記事と、『週刊東洋経済』電子版をお読みいただけます。
- 有料会員限定記事を含むすべての記事が読める
- 『週刊東洋経済』電子版の最新号とバックナンバーが読み放題
- 有料会員限定メールマガジンをお届け
- 各種イベント・セミナーご優待
無料会員登録はこちら
ログインはこちら