1つの数字を過大視すると現実的な解決策に目が向かなくなる。
人はみな物事の大きさを判断するのが苦手だ。メディアは社会的弱者や不正行為を伝え、その数字を見た私たちは「なんて大きい(小さい)んだ」と嘆息する。人間が持つ過大視本能が勘違いを生み出すと『ファクトフルネス』は力説している。
ただ、たった2つのテクニックを使うだけで、大きさや割合を勘違いしないで済むとも同書はいう。そのテクニックとは比較と割り算だ。日本人なら誰もが気になる話題を使って、それを見ていこう。
生活保護費の不正受給のニュースは繰り返し登場し、タレントの親族が関係していようものなら「炎上」間違いなしだ。もちろん、虚偽の申告で生活保護費を受給するのは問題だし、その財源は税金で賄われていることから国民が怒るのも当然だ。不正受給額は年間約170億円、件数にして約4万4000(2015年度)に上る。
比べる数字はないかを考えてみる
人は、この確かな事実を前に生活保護制度は何やらうさんくさいものだと思うようになる。「生活保護費の受給要件をもっと厳しくしろ」という声はいつの時代も国民の一部から上がっている。強硬な世論が広がれば、正当に生活保護費を受給している人たちも一段と萎縮した気持ちになるだろう。
この記事は有料会員限定です。
東洋経済オンライン有料会員にご登録いただくと、有料会員限定記事を含むすべての記事と、『週刊東洋経済』電子版をお読みいただけます。
- 有料会員限定記事を含むすべての記事が読める
- 『週刊東洋経済』電子版の最新号とバックナンバーが読み放題
- 有料会員限定メールマガジンをお届け
- 各種イベント・セミナーご優待
無料会員登録はこちら
ログインはこちら