為替市場での『定説』の信憑性は多面的に捉えればかなり怪しい。
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円は安全通貨なのか?
外国為替市場に関する新聞報道などではしばしば、「リスク回避ムードが高まる中、安全通貨とされる円を買ってドルを売る動きが強まった」といった記述が見られる。本当に円は「安全な」通貨といえるのだろうか。
「恐怖指数」とも呼ばれるVIX。米S&P500株価指数を対象とするオプション取引のボラティリティー(変動性)を基に算出される指数で、数値が高いほど市場の不安心理が強いことを示す。
このVIXとドル円相場の関係を見ると、最近でも2018年の序盤や年末にVIXが急上昇した際、同時に円高が進行している(図表1)。市場の不安心理と円相場には一定の相関関係があるように見える。
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だが、日本の対内証券投資を見ると、リーマンショックのあった08年や翌09年には海外勢は日本の株や債券を売り越しており、金融市場が乱高下した16年、18年にも日本株を売り越している(図表2)。つまり、危機時に円建ての資産がいつも買われているわけではない。
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