スウェーデン出身の医師・公衆衛生学者ハンス・ロスリング氏は、自身の著書『ファクトフルネス』の完成とほぼ同時期の2017年2月にすい臓がんのため亡くなった。
現在、その遺志を継ぎ、非営利教育組織ギャップマインダー財団の運営に当たるのが、同書共著者でハンス氏の息子であるオーラ・ロスリング氏とその配偶者アンナ・ロスリング・ロンランド氏だ。『ファクトフルネス』の誕生秘話や同財団の新たな取り組みなどについて、アンナ氏に話を聞いた。
──『ファクトフルネス』が世界の読者に受け入れられた理由をどのように考えていますか。
現在は大量のニュースがあふれ、人々はおびえて悲観的になり、バラバラに分裂している。この本に興味を持ってもらえたのは、世界の真の全体像と、人間が間違えてしまう脳のメカニズムの双方を示したことが大きな理由だと思う。この本によってニュースに対処する方法を身に付け、これまで世界について知らなかったことを学んでもらえればうれしい。
メディアや教育制度が果たすべき役割
──ファクトフルネスという言葉は造語ですね。
この言葉を発明したのは、オーラだ。「マインドフルネス」(今この瞬間の精神状態に意識を向けるための瞑想やトレーニングを指す)から着想を得た。ファクトフルネスという言葉は、自分が事実を認識する精神状態について深く意識を向ける方法を見つけることを指している。
──本書では「ネガティブ本能」や「過大視本能」「単純化本能」など、人間が間違えてしまう10の本能を指摘していますね。
この記事は有料会員限定です。
ログイン(会員の方はこちら)
有料会員登録
東洋経済オンライン有料会員にご登録いただくと、有料会員限定記事を含むすべての記事と、『週刊東洋経済』電子版をお読みいただけます。
- 有料会員限定記事を含むすべての記事が読める
- 『週刊東洋経済』電子版の最新号とバックナンバーが読み放題
- 有料会員限定メールマガジンをお届け
- 各種イベント・セミナーご優待
トピックボードAD
有料会員限定記事
無料会員登録はこちら
ログインはこちら