「2022年に都市農地が大量供給されるので、地価が暴落すると思われます」「(税制も)今まで優遇されていたほどの特典はつかないかもしれません」
のっけから講師が、生産緑地の危機をまくし立てる。緑地オーナーとみられる参加者たちは、静かに耳を傾けている。
これは9月某日、東京都内で開かれたある生産緑地セミナーに記者が潜入したときの様子だ。
主催したハウスメーカーは、「セミナーの内容は講師にお任せしている。危機感をあおるよう依頼した事実はない」と強調するが、そうは見えなかった。
別のセミナーを開催したハウスメーカーは抗弁する。「警鐘を鳴らすのが目的。生産緑地が指定解除されたとき、こんなことが起きますよ、大慌てしないようにしてくださいよ、と伝えるのがセミナーの主旨だ」というのだ。
この4月に生産緑地法が改正され、30年が経過した生産緑地は、10年更新が可能となった。つまり、22年になっても、生産緑地の指定解除が大量には行われないようにする仕組みだ。税制体系にしても、決まるのは今年末の税制大綱を待ってからだが、緑地法改正に合わせた形で税制優遇が継続される見通しだ。だが、いずれのセミナーでも、こうした制度改正に関する説明はあっさりしたものだった。セミナー主催者の真の狙いは、生産緑地の指定を解除させ、アパートなどの収益物件をそこに建てさせることにほかならない。
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