なぜ土地の持ち主が不明になるのか。それは社会でどういう問題を引き起こすのだろうか。
「捨てられた土地」は都市部でも広がる!
Q. なぜ所有者不明の土地が今、注目を集めているのですか。
A 所有者不明土地は決して新しい問題ではありません。耕作放棄地への対応や森林の管理を考えている農林業関係者、自治体の用地取得の担当者などの間では、以前から「地権者と連絡が取れない」という事態が頻繁に起きていました。ただ、個々の現場で問題に対処していて、これを構造的課題と考えるには至りませんでした。
それが東日本大震災の後、被災地で高台に宅地を造成しようとしても、所有者不明の土地があって用地買収が進まないなどの問題が大きく表面化しました。また、農地や山林だけでなく宅地でも、都市部を含め、荒廃した空き家の所有者と連絡が取れず、自治体が撤去する事例は増えています。そうした中で所有者不明の土地が社会問題、政策課題として認識され始めました。
Q. なぜ土地の所有者がわからなくなるのでしょうか。
A 大きな要因は、土地を相続する際に相続人が登記をしないこと。相続時の登記は義務ではありませんが、登記をしないまま世代交代が進むと、法定相続人の数はねずみ算式に増えていき、所有者の所在の特定が難しくなります。
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