各自治体の「立地適正化計画」策定が、旗振り役の国土交通省も予想しなかったペースで進んでいる。357の自治体がすでに作成を始め、うち66が計画を完成させた(7月末時点)。「生活を続けてほしい地域」と「そうでない地域」を色分けし、街の開発規模を縮めて人口減少に備えようというのが狙いである。
東京のベッドタウン、埼玉。県内でもいち早く立地適正化計画をまとめたのは、埼玉県民の間でさえ知名度の低い、人口3.5万人の小さな町だった。
埼玉県毛呂山(もろやま)町役場まちづくり整備課の酒井優氏が、その使命感から誰の力も借りず、一人で計画作りに着手したのは2年前の春のことだった。「本当はよそみたいに、都市計画コンサルに頼めば簡単だったんですがね」と、酒井氏は苦笑いする。だが打診したコンサルティング会社は約1000万円という見積もりを提示してきた。「そんなカネはない」と、町の財務担当は突っぱねた。
立地適正化計画の策定はあくまで任意だが、ここで断念したくはなかったという。毛呂山町は埼玉県内でも空き家率ワーストという不名誉な記録を持つ(2013年で空き家率19.8%)。都市計画の担当者として、何か町を改革するための貢献がしたかった。
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