【産業天気図・石油・石炭製品】需給底堅く、足元の精製販売マージン弱含んでも「曇り」維持
10年10月~11年3月 | 11年4月~9月 |
石油業界は2011年9月まで終始「曇り」にとどまりそうだ。
10年度後半は「曇り」。日本の石油産業の中核をなす石油精製元売り大手の10年度上期業績は、各社とも上期は計画を上回る利益水準となった。業界挙げての生産調整に猛暑効果が加わり、精製販売マージンが大幅に改善した。下期はマージンがやや弱含むため「曇り」だが、「土砂降りの雨」だった09年度と比較すれば収益環境は決して悪くない。
大手精製元売り5社の10年度上期業績(12月期決算の東燃ゼネラル、昭和シェル石油は1~9月を集計)は、経常利益総額が約2640億円と前年同期の3倍近くに増加し、想定以上の回復ぶりを見せた。前年同期は2000億円近い在庫評価益を含んでおり、在庫関連損益を除いた前年度上期の真水ベースの経常損益は1000億円以上の赤字だった。一方、10年度上期の真水の経常損益は約3000億円の黒字で、実質的な改善幅は4000億円超に上る。
精製元売り業界は過剰設備を背景とした安売り合戦でマージン縮小が続き、09年度は真水の経常損益が軒並み赤字に転落。業界挙げての生産調整と安売り自粛に動き、10年度はガソリン、軽油、灯油などの精製販売マージンが大きく改善。ガソリン、軽油に関して言えば、猛暑によるカーエアコンの利用増加などで需要自体も好調に推移し、マージン改善に大きく寄与した。