
明治大学教授 海野素央
[政治手法]「もう一つの真実」で攪乱

トランプ氏は対立の構図を巧みに使う。「労働者対不法移民」「退役軍人対不法移民」。「トランプ対メディア」という形も作った。メディアも悪名高い「エスタブリッシュメント」に入れたわけだ。さらに「もう1つの真実」という言葉も作った。これは常識的には「うそ」である。「ヒラリー・クリントン氏には不法な投票が数多くあった」「オバマ氏がトランプタワーで盗聴をやっていた」。根拠のない「もう1つの真実」を持ち出し、本当の事実の信用性をおとしめる。
側近のマイケル・フリン氏が秘密裏にロシア大使と接触していたことで辞任。現司法長官にも疑惑の目が向けられている。すると、盗聴疑惑のような「もう1つの真実」をスルッと出す。別次元の話で事実を覆い隠そうとするのだ。「トランプ! トランプ!」と連呼する熱狂的な支持者はそれを信じてしまう。
「もう1つの真実」はトランプ支持者と不支持者の間の不信感を決定的なものにし、分断をより深める。ただ、トランプ氏の狙いは分断を利用して勝つ、対立して勝つ、ということであり、それは計算どおりだ。
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