【産業天気図・アパレル】高額品の回復鈍く低価格衣料も既存店伸び悩み、終始「曇り」止まり
ポイントなど中低価格帯で売り上げを伸ばしてきた各社は、さらに厳しい。中国の人件費高騰に加え、欧米ファストファッションやアジアのアパレル勢との縫製工場の争奪戦に巻き込まれ、納期遅れや商品確保が難しくなっている。既存店売上高も、好調だった前期に比べて急ブレーキがかかっている。近い将来、販売価格を引き上げる必要性もありそうだが、価格が上がれば客離れも懸念される。今後は会社の枠を超えた共同調達など調達の安定化が図れるかで業績は左右されそうだ。
不振が続いてきた百貨店アパレルは、百貨店の既存店売上高が10月に32カ月振り前年実績を上回るなど、一見、底打ち感が見られている。オンワードホールディングスや三陽商会では、冬物のコートやスーツの販売が堅調との声が聞かれている。10月下旬から急激に気温が低下したことを追い風に、ウール素材の衣料品も好調だ。
だが、リーマンショック後の2年間の買い控えの反動がきているとする見方が大勢で、高額衣料品市場が回復してきているとの見方は少ない。各社はショッピングセンターなど新しい販路の開拓を進めているほか、インターネット通販の活用も積極化している。単価は安くとも、百貨店に頼らずに着実に収益をあげられる収益構造の構築を急ぎ、中長期的な生き残り策に出始めている。ただ競合が多い業態だけに、一筋縄ではいかなそうだ。
(鈴木 良英=東洋経済オンライン)
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