政府が音頭をとる「働き方改革」で、正社員の副業を認める議論が進む。もう会社に人生を託す単線型キャリアには安住できない。
▶▶PART1 今、なぜ副業なのか
パラレルキャリア時代の到来
9月下旬、政府による働き方改革の議論が本格的にスタートした。同一労働同一賃金による非正規雇用の処遇改善、長時間労働是正などとともに、九つの議論テーマの一つに盛り込まれたのが、副業・兼業による柔軟な働き方だ。
国内で副業を持つ人の数は234万人。京都府の人口程度の数で、就業者に占める割合は3.64%にとどまっている。現状では決してメジャーな働き方ではない副業だが、今さまざまなレベルで注目を集め始めている。
政府が副業を奨励する背景には、日本のあらゆる経済問題のボトルネックとなっている人口減少がある。労働力の中核を成す生産年齢人口(15〜64歳)は2000年にピークを迎えた。足元では年々減少し、40年には00年比で3割減となる見通しだ。
労働力不足の解消策としては外国人労働者の受け入れといった道もあるが、実現可能性が高いのは高齢者の就労促進、そしてより高い生産性を働き盛り世代に発揮してもらうことだ。政府が勤労世代の副業に関する議論を始めたのにも、社会全体の労働力を維持したいという観点がある。
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